オーストラリア英語は訛ってる?アメリカ英語と違う?

オーストラリア英語は訛っている、という話を聞いたことがあるかもしれません。
日本人に馴染みがある英語といえばアメリカ英語ですが、オージーイングリッシュと言われるオーストラリア英語の歴史や特徴、発音、よく使われる挨拶などをみていきましょう。

目次

1.オーストラリア英語の起源・歴史的背景

オーストラリア英語は、イギリス英語の影響を大きく受けて独自のオーストラリア英語へと発展しました。

オーストラリア英語の起源は、1700年代まで遡ります。
オーストラリアには、もともとアボリジニと呼ばれる先住民が暮らしていました。
アボリジニは、少なくとも5万年前からオーストラリアで暮らし独自の言語や文化を築き上げていました。

1770年にイギリス人の探検家であるキャプテン・ジェームス・クックを初めとして多くのイギリス人がオーストラリアへ植民地化を目的にやってきました。
1778年にはシドニー・ハーバーに多くのイギリス人が到着し、植民地支配がはじまります。

入植者のイギリス人はスコットランドやウェールズ、イングランド、アイルランドの出身が多く、彼らの使っていたイギリス英語がこのときにオーストラリアへ根付いたとされています。
1901年にオーストラリアが国家として成立するまで、イギリス人を中心に中国人や中東系など多くの国からオーストラリアへ移住者が訪れました。
中でも一番始めにオーストラリアへやってきたイギリス人の英語が強く残っています。

またイギリス英語のほかに、オーストラリアの先住民族であるアボリジニ独自の言語も影響を与えた要素の一つ。
現在使われているオーストラリア英語のなかには、アボリジニの言語から派生している言葉が少なくありません。
イギリス英語をベースにし、さらにアボリジニの言語の影響を受けて徐々に進化したものが現在のオーストラリア英語です。

さらにオーストラリア独立後は、オーストラリア人の気さくで少し怠惰な性格も英語に影響していると言われています。
オーストラリア人の性格から短縮形や変形した〝オージーイングリッシュ〟と言われる、独自の単語の形が生まれました。

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2.オーストラリア英語の発音の特徴

それでは具体的に、オーストラリア英語の特徴を紹介していきます。
アメリカ英語との違いにも触れているので、どのような発音の癖や表現があるのかおさえておきましょう。
オーストラリア人の英語で特に特徴的なものは以下の4つです。

・aは「アイ」と発音される
・rを発音しない(r-less)
・erをreという順で表記する
・canは「キャン」ではなく「カン」
・短縮形が多い
・語尾を"-ie"や"-y"に変形させる
・語末の「G」「T」「K」は発音しない
一つ一つ紹介していきますね。

aは「アイ」と発音される。today:トゥデイ→トゥダイ

オーストラリア英語の代表的な特徴といえば、aの発音がアメリカ英語と異なり少し独特です。
aの音は、アメリカ英語であれば、「エ」や「エイ」と発音されます。しかし、オーストラリア英語では、aの音は「ア」や「アイ」と発音されています。
代表的な単語に「Today」があります。アメリカ英語や授業で習う発音は「トゥデイ」となりますが、オーストラリア英語では「トゥダイ」と発音されます。
このような発音ではtodayをto die(死ぬこと)と思い込んでしまうといった間違いも起こりますので気をつけましょう。
todayのほかにも、nameを「ネイム」ではなく「ナイム」と発音したり、eightを「エイト」ではなく「アイト」と発音したりします。
発音のルール自体は難しくありませんが、オーストラリア英語に慣れていない場合には大きな聞き間違えにつながる可能性もあるので注意したいですね。

そこで留学を考えている皆さんは語学学校に通った場合にも先生が「トゥダイ」と発音するかが気になるかと思いますが、語学学校の先生は「トゥデイ」と教えるところがほとんどです。

rを発音しない(r-less)

日本人が苦手な発音の一つとして、Rが挙げられます。理由としてはRを発音する際には舌を丸めて奥に引き込む必要があり、これは日本語には存在しない舌の動きだからです。
実際にアメリカ英語を聞いてみると、少しこもったような日本語にはない音でRと発音していることが分かるでしょう。

通常アメリカ英語では舌を巻いて発音するところを、オーストラリア英語では舌を伸ばしたまま発音します。
例えばアメリカ英語で「car」と発音する場合は「カァー」と最後の「ア」の音を舌を巻いて変化させますが、オーストラリア英語では日本語と同じように「カー」とそのまま伸ばすだけで問題ありません。
オーストラリア英語のRは日本語のカタカナ・イングリッシュに似ているため聞き取りやすく、舌を巻く必要がなく発音しやすいためRの発音で苦労しやすい日本人にとっては楽に感じられます。
そのため、英語ネイティブであるはずのオーストラリア人の英語でも、なんとなくカタカナ英語のように聞こえることがあります。
rの音を発音しないことは、r-lessと言われています。

erをreという順で表記する

オーストラリア英語では、スペルもアメリカ英語と異なる点がいくつかあります。
そのひとつにerのスペルの順番があります。
例えば、"center"という単語は"centre"というようにeとrの順番が逆です。
このスペルの違いはイギリス英語がもとになっていて、オーストラリア英語でもそのまま受け継がれた表現方法です。

canは「キャン」ではなく「カン」

アメリカ英語では「CA」を「キャ」と発音しますが、オーストラリア英語では「カ」と発音します。
例えばcanという英単語は、「キャン」ではなく「カン」という発音になります。
canなどの助動詞であれば主語のすぐ後ろにくるのでわかりやすいですが、オーストラリア人との実際の会話のなかでは判断に迷いやすい英単語も少なくありません。
例えばcatという発音の場合、アメリカ英語は「キャット」ですが、オーストラリア英語は「カット」です。
cutとの聞き分けが難しいため、英会話の場では文脈をよく意識することが大切です。

また名詞や動名詞だけでなく、Catharine(キャサリン)などの人名に使われる「CA」も「カ」と発音します。
人名や固有名詞はついアメリカ英語的に「キャ」と発音しがちなので、オーストラリア人と会話するときは意識しましょう。

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短縮形が多い

オーストラリア人は、よく単語を短縮した形で話します。
アメリカ英語においてもkind ofをkindaと略すなど短縮された英語がよく使われますが、オーストラリア英語においても単語やフレーズを短縮して使うことは多いです。
かなり短く短縮するので知っていないと意味が分からないことが多いです。
たとえば短縮形には以下のような単語があります。
・Ta「タ」
"Thank you"の短縮形です。
・G Day「グッダイ」
"Good Day"の短縮形です。友人や知り合いに挨拶するときに使います。
・mossi「モージー」
蚊を意味する"mosquito"の変形した形です。
・arvo「アルヴォ」
午後という意味の"afternoon"を意味する単語が変形した形です。
・cuppa「カッパ」
"cup of tea"(一杯の紅茶)という意味の単語が短縮されています。
・ambo「アンボ」
救急車のambulanceが短縮された形です。
・roo「ルー」
カンガルーのおkangarooが短縮された形です。
・Maccas「マカス「
マクドナルドのMcDonald’s が短縮された形です。
・sanga「サンガ」
サンドイッチのsandwichが短縮された形です。

語尾を"-ie"や"-y"に変形させる

ここでは、原型が分からないほど発音が変化する訛りが激しいオーストラリア英語を紹介します。
その一つが、語末が「-ie」や「-y」に変化する形です。
例えばAustralian(オーストラリア人)がAussieになったり、breakfast(朝食)がbrekkieになったりといった単語があります。
mosquito(蚊)がmossieになったり、BBQ(バーベキュー)がbarbieになったりなど、もはや原型が全く分からない英単語も少なくありません。
SNSでも語末が「-ie」や「-y」の表現はよく登場します。気になる言葉を見つけたら意味をチェックしてみましょう。
語末が「-ie」や「-y」に変化するような分かりやすいものだけでなく、オーストラリア英語には不規則に変化した単語やフレーズも多いので、一つひとつ地道に覚えておくのがおすすめです。

語尾の「G」「T」「K」は発音しない

アメリカ英語にはないオーストラリア英語の特徴の1つとして、語尾のG・T・Kを発音しないことが挙げられます。
例えばgoingという英単語を発音する場合、「ゴーイング」ではなく「ゴーイン」になります。
~ingという英単語は英会話の場でよく登場するので、オーストラリア英語では最後の「グ」が消えることを覚えておきましょう。
goingであれば「goin」だけ聞いてで何を言っているのか理解はそれほど難しくありません。
なかにはG・T・Kが消えることで一気に聞き取りの難易度が上がる英単語も存在します。
例えばcan’t(~できない)という助動詞は、最後のtが消えると「カーン」という発音になるため、canとcan’tどちらなのか区別が難しいです。
実際はcanが「カン」でcan’tが「カーン」のため微妙に発音が異なりますが、慣れるまではそれぞれの聞き分けに苦労するかもしれません。

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3.オーストラリアでよく使う挨拶やフレーズ

No Worries「ノーウォーリー」

No Worries「ノーウォーリー」という言い回しはよく使われます。
どういたしましてを意味する"You’re welcome"や"No problem"の意味です。
"Don’t worry"とアメリカ英語でいうところを、Noに変形して使用しています。「気にしないよ!」といった意味で、男女問わず気軽に使われる単語です。
何かお礼を言われたときに、"Ta"(ありがとう)、"No Worries"(心配ないよ!)というやりとりができれば正しい使い方です。

G’day!

オーストラリアで定番の挨拶といえば、good dayを省略したG’day.です。
「グッデイ」ではなく、オーストラリア英語的に「グダイ」と発音します。
意味はアメリカ英語でいうと「Hi」や「Hello」、日本語でいうと「こんにちは」や「良い日だね」が近いでしょう。
あまり堅苦しくないカジュアルな挨拶をしたいときにぴったりな表現です。
またこのG’day!だけでも挨拶としては十分ですが、G’day!の後に次で紹介するmate(友達)を付け足すのもおすすめ。
より親しみを込めたニュアンスになり、ネイティブらしさが一気にアップします。

mate

オーストラリアでは友人を意味するmate(マイト)という表現をよく使います。
mateは特別に親しい間柄の相手だけでなく、店員や顔見知りレベルの知人、初対面の相手にも使います。
G’dayとセットでG’day, mate!と使うことでより親密な気持ちを伝えられます。
また一般的な挨拶の場だけでなく、He is my mate. (彼は私の友人です)という使い方も可能です。

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Cheers, mate!

Cheersというと乾杯の合図として有名ですがオーストラリアではカジュアルにお礼を言うときの表現としても使えます。
Thank youのような丁寧な表現というより、Thanks!のような少し軽いイメージです。
また一般的にはCheersを単体で使うのではなく、Cheers, mate!と後ろにmateを付け足すことがほどんどです。友人だけでなく顔見知りの相手や初対面の相手など、誰にでも使うことができます。ってOKです。

How are ya going?

How are ya going? (調子はどう?)は、オーストラリアの挨拶の場でよく登場します。
yaはyouを意味するスラングで、さらに丁寧なHow are you going?という表現もオーストラリアではよく使われています。
アメリカ英語でいうと、How are you doing?やHow’s it going?とほぼ同じです。
親しい相手に調子を尋ねたいときに使う表現で、下記のようにG’day!やmateと組み合わせて使うことも可能です。

Yes, NoではなくYup, Nup

YesやNoなどの返事をカジュアルに返したい場合は、YupとNupが使えます。
それぞれ「ヤップ」「ナップ」と発音します。
Yupは「うん」「はーい」など軽い肯定。Nupは「いや」や「ううん」など軽い否定の意味です。
親しい友人に何か頼まれたときの返答。カジュアルな飲食店で店員に注文を聞かれたときなど、堅苦しくなくリラックスした場所で使ういます。

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4.オーストラリア英語のまとめ

オーストラリア英語は、イギリス入植時代の影響を強く受けています。
そして、さらにイギリス英語から変化を遂げて、「オージーイングリッシュ」と呼ばれるオーストラリア独特の表現がたくさん生まれました。
特に、発音はイギリス英語がそのまま受け継がれています。
そのため最初のうちは、少し聞き取りにくく感じるかもしれません。

まずは「a」の発音や「r」の舌の使い方など、基本的なところから少しずつ押さえておきましょう。
慣れないうちは難しいかもしれませんが、使っているうちに覚えてきます。よく使われるオーストラリア英語の表現も使ってみてください。

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